とうとうこの日が来てしまった。右太もも痛で1ヶ月半もランを休んでのフルマラソン。完走できないことを確信しつつ、それでもエントリー料金払ってるし、友人たちもいるし、ということで朝から出かけてきた。
準備諸々に手間取って出発が遅れてしまったけど、時間的にはまだ余裕がある。駅までの道のりでいつもの風景の写真を撮った。抜けるような青空はとても嬉しいけどやや気温が高い。完走できる気がしない。熱中症も怖いし、脱水症状も怖い。10マイルにしておけばよかったかと思うけど、エントリー変更できるわけではないので仕方ない。
会場に到着、スタートまでは余裕がありそう。芝生の上でウインドブレーカーを脱いでリュックに入れ、荷物を預けてスタート地点に向かった。いつもだいたい同じ場所にいる飲み屋仲間と合流、スタートの合図を待った。といっても一斉にスタートというわけではない。1万4千人近くが走るので、スタートライン付近までほぼ10分くらいはゆっくり歩いて行くことになる。
とりあえず自分たちのいる場所からはスタートのゲートさえも見えない。仲間と写真を撮ってしばしの歓談。半袖でもまったく寒さを感じない。釣りにはいいコンディションだけど気温が高すぎ、ますます完走が遠のくように感じる。この時点では棄権確実と思っていたので、どこまで走れるかということを考えていた。
そしてスタート。スタートラインを超えてもまだゆっくりで、結局15分位ノロノロ進んだ。
序盤数キロ走ったところで、既に右足に違和感が出る。前回の膝痛の教訓もあったので、テーピングはしっかりしている。太ももも気休め程度ではあるけれどテーピングして、サポーターもつけている。この時点では痛みに我慢できないくらいになったら危険しようと思っていた。最初のうちはアップダウンがあってこれが足にくる。そもそも階段の登り降りも辛いので、歩幅を短くして足に負担がかからないように走る。
10km前後でキツくなってくる。足の具合も良くない。沿道の声援で時々大きな音楽をかけている人がいて、それが自分の好きな音楽だったりすると不思議と元気が出る。ハーモニーを口ずさみながら走っているとコースの中央で人だかりができている。変な人でもいるんじゃないかと思ったら有森裕子さん!、ハイタッチで応援してる!。偶然有森さんの近くのコース取りだったので自分もハイタッチしてもらった。不思議なものでこれでまた少し元気が出て走れる気になった。
とは言っても有森さん効果がいつまでも続くわけでなく、しばらくするとまた辛いペースになる。15kmをすぎるとガクッとペースが落ちる。疲労が溜まって少し脱水症状気味になり、再び棄権の2文字が頭によぎる。この時点で既に2時間が経過していて制限時間内完走は厳しいと考え始める。
ここまでは無理して給水をとるようなことをしなかったけど、熱中症になりそうな気もしたので、歩いてしまったとしても給水をとることにした。空はいつまでも青くて、気持ちいいんだけど。
都心のマラソンもいいのかもしれないけれど、かすみがうらマラソンや将門マラソンは景色がのんびりで自分にはあっている。時折吹く風が木の間を通り抜けてくるせいなのか優しく感じる。それでも辛いのは辛い。
17kmの関門が近づく。ここを2時間15分以内に通過しないとそのままバスに回収される。スタッフの人が「後少しで制限です」と言っててそれに少し愕然とする。去年はちょうど同じ頃合いでハーフ地点を走っていたわけで、4km近く遅い計算になる。関門通過できるのか、と思いながら走っていたけどバスに回収されなかったので、レースは継続できた。
とうとう郷土資料館が見えてきた。随分昔だけどこのお城は天守閣に登ったことがある。霞ヶ浦の東西方向の真ん中くらいまで来たのか、と感慨深い。しかし身体が悲鳴をあげて、とうとうここで歩いてしまった。去年はたしか30km手前くらいまでは走れたのに。1ヶ月半も練習できなくてこの暑さ、当然の結果ではあるけれど残念な気持ちになる。それでも半分は走ろうと自分を奮い立たせた。
そして半分!。なんとか中間点までたどり着けた。ここまでくると、あと5km、あと3kmと自分を奮い立たせつつ走るしかない。この時点で既に2時間45分をまわっている。去年のハーフ通過が2時間20分位だったので25分の超過。去年のタイムが5時間半くらいなのでこの時点でもはや制限時間ギリギリだった。走っている最中もそれに気がついていて、制限時間内完走は厳しいとわかった。それ以前にこの時はまだ完走も危うかった。
20kmをすぎると、ふと身体が軽くなる。やっとランに身体が慣れてきた印象だった。いつもの練習なら1.5kmくらいで軽くなるのに、今さらという感じ。それでも少し元気が出てピッチもほんの少し速くなった。歩きながらではあるけれど。
暫く進んでやっとコース最東端の折り返し、蓮畑が広がった。いつもそうだけど、この景色を見るとレンコンが食べたくなる。
27kmくらいで応援に来てくれた友人が自分を見つけてくれた。ご夫婦子連れで来てくださっていて、こういうの、本当に嬉しい。涙が出そうになる。制限時間内は無理かもしれない、とか少し言葉をかわして先に進む。
やっと30kmが見える。ハーフ地点から制限時間とピッチを考えながら走っている。1km9分強だと制限時間内、10分だと間に合わない。この時のペースがちょうど9分強で現実的には残り半分を同じペースで走るのは自分には厳しい。でも、絶対諦めちゃ駄目と考えながら走る。今日は嫌なことを忘れてマラソンに集中すると決めてきたので、とにかく諦めない。その一言に尽きた。35kmまでは、もうちょっと走ろう、もうちょっと走ろう、と思っていたけれど35kmが見えて、完走しようという気持ちに変わった。ずっと9分弱から9分強のペースで1kmをこなせていて自分でも驚く。
35km過ぎのエイドで、一度椅子に座る。ボランティアスタッフの方がアイシングをしようとしてくださったけどそこは断った。ふくらはぎを冷やすのはちょっと怖かったので丁重にお断り。エイドの時計を見るとちょうど15時で、スタッフの方と少し言葉をかわしてまた走り出した。参加費を払っているからにはその分きっちりと走りたい。
そしてとうとう車の通る道路までたどり着く。ここまでまだ1km9分強のペースで自分にとっては奇跡的。さすがに辛くて何度かしゃがんだり屈伸したりしたけどとにかく完走を目指す。今日は諦めない。
40kmの掲示は風で上手く撮影できなかったけど、時間に余裕がなくてそのまま通過。もうぎりぎり、歩く時間が増えると間に合わない。出来るだけ歩く時間を短くして、遅くてもいいから走るようにする。
41km、42kmの掲示はストップウォッチのラップをとれなかった。もう夢中でなんとか制限時間内にたどり着きたいの一心。ゴール直前でも足が辛くて何度も屈伸。最後の1kmとか500mがとても長く感じたけれど、とうとう競技場が見えて中に入るとすぐ目の前にゴールのゲート!、間に合った。
ほんとにギリギリ、制限時間1分ちょっと前。諦めない気持ちでチャレンジすることが大切だと痛感、タイムとしてはとても残念だけど、最後まで諦めない気持ちを持ち続けることが出来て自分に感動した。
有森さんが「自分で自分を褒めたい」と言っていた意味が少しわかる気がした。
ゴール後、ボランティアの方からドリンクやバナナ、記録証を受け取った。涙が出そうになるくらい。制限時間内に完走できて本当によかった。
友人たちは長い人で5時間位自分が戻るのを待っててくれて走っている最中も申し訳ないと思っていたけれど、本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。本来なら皆で打ち上げをするはずだったけど、その後別の予定があったのとシロさんの具合が良くないので、皆と別れることにした。
相手と競らない自分とだけ戦うマラソンって自分にあっている競技だなと思った。来年のことはわからないけれど、走ってみてもいいかなと思える。少し身体を休めたら、いろいろ考えることにしよう。
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